キラウエア・カルデラ 展望台紹介Part1 ウエ-カフナ

Aloha! 和田タイチョーです。
今回から数回に分けてキラウエア・カルデラを望む展望台について紹介していきたいと思います。キラウエア火山を観光する基本中の基本ですね。カルデラを眺める展望台といっても一つじゃないんです。今回はウエーカフナというキラウエア山頂の展望台をご紹介します。

この場所は以前たくさんの観光客が訪れたジャガーミュージアムがあるエリアになります。ジャガーミュージアムは様々な形状の溶岩を展示してあったり、実際に計測に使用している地震計があったりと、火山の博物館として重要な役割を担っておりました。国立公園を訪れる人は必ず立ち寄る場所でもあったのです。しかし2018年にこの場所はその姿を大きく変えることになりました。

ご存じの方も多いと思いますが、2018年のレイラニエステートという住宅街に24個もの噴火口が誕生して、700軒以上の住宅と東京ドーム750個分の面積を溶岩で埋め尽くし、東京ドーム75個分の新しい陸地を海に創りました。1.4立方キロメートル(1,400,000,000立方メートル)の溶岩をわずか3ヶ月で出したのです。14億立方メートルなんてピンとこないですよね。この溶岩を立方体の形に固めたら、なんと縦横高さが全て1120mの塊になります!

キラウエア山頂直下のマグマ溜まりはこのとてつもない両の溶岩を3ヶ月という短期間に失ったことで8億立方メートル分の地面が崩落しました。深さ80mのハレマウマウ火口は深さ500mを超えました。直径も915mだったものが2kmを超えました。更にカルデラの縁も崩れ、カルデラ一周の道路クレーターリムドライブの一部とハレマウマウ展望台や駐車場も火口の底に飲み込まれました。その大崩落の影響で建物の破壊、展望台の深い亀裂などで危険と判断されて閉鎖中です。この場所での再開は不可能で、現在のビジターセンター付近に新たに建設予定となっています。なので旧ジャガーミュージアムの展望台は立入禁止なんです。

ウエーカフナ(uēkahuna)は以前はウヴェーカフナ(uwēkahuna)と呼ばれていましたがいつの間にかウエーカフナに変わっていました。理由は不明です。ウエーカフナには2ヶ所の展望台が用意されています。ウエーカフナ駐車場(旧ジャガーミュージアム駐車場)に車を停めて、駐車場からジャガーミュージアムに向かって右手側が南西側の展望台になります。逆に左に進むと北東側の展望台があります。ジャガーミュージアムとその展望台は立入禁止ですがトイレだけは現在も使えます。

まず南西側の展望台ですが、キラウエア・カルデラのカルデラ外縁部の崖にあります。上の図の黄色いラインがカルデラの縁ですね。ハレマウマウからも近く良く見えそうなのですが、実は赤いラインと黄色いラインの間には大きな岩棚が突き出していて、それが障害物となりハレマウマウ火口の中が見えないんです。この岩棚ごと崩れてくれていたら、もしかしたらここは最も人気のある展望台になっていたかもしれません。下の図はハレマウマウ側から展望台を観た図です。黄色の岩棚が障害物になります。

実際の眺めはこんな感じです。もっと深い所に赤い溶岩がいるので残念ながら見えないんですね。

赤い溶岩は見えませんが、景色自体は悪くないんですよ。広大な山頂エリアがドーンと見えます。

ウエーカフナはキラウエアで最も標高の高い場所です。厳密には1247mの山頂はジャガーミュージアムの隣のハワイ火山観測所付近になります。南西展望台は概ね1240mぐらいになります。でも皆さん、この景色おかしくないですか?日本人の常識では山頂からの眺めは下界の眺めが美しいんですよね?でもここからの眺めはカルデラ以外はどこまでも続く広大な平原と地平線。こんな山頂皆さんの家の近くにありますか? キラウエアは楯状火山といって、中世の騎士が持っていた身を守る盾を地面に伏せたような形なんです。これは溶岩の粘性が非常に低いため、流れ出た溶岩はサラサラと遠くまで流れて行きます。例えるならハワイの溶岩はパンケーキにかけるメイプルシロップのような感じです。一方日本の火山の多くは粘性が高い安山岩やデイサイトを出します。ベットリとしていてジャムのような感じです。雲仙などは溶岩はカチカチの岩の状態で出てきます。出た溶岩は流れずに上に上にと伸びていく溶岩ドームになります。やがて溶岩ドームは崩れて崖崩れを起こし高温の火砕流になります。遠くまで流れないため溶岩は山頂付近に留まり傾斜のきつい山になります。

ちなみに富士山はキラウエアとよく似たサラサラの玄武岩を出しますよ。でも富士山の山頂はこんな景色ではないですよね。これは富士山の下には別の火山が埋まっていて、昔はもっと粘性の高い安山岩という溶岩を出していて傾斜の急な山になったのですが、その後サラサラの玄武岩を出すようになり、急峻な上の部分は玄武岩は速く流れ下り、その先に広大ななだらかな裾野を創ったんですね。

次は北東側の展望台です。こちらは南西側の展望台のように目の前大きな岩棚は右にあるためハレマウマウの1/3ぐらいは良く見えます。少し深いところまで覗き見ることができますね。カルデラ崩落直後は深すぎてハレマウマウ火口の底を見ることはできませんでした。

少し左の景色はこんな感じで2018年のカルデラフロアーの崩落の跡が良く見えます。いくつもの破砕した地面の亀裂が見えます。ハレマウマウの陥没に引きづられるような引張の力がかかった正断層になっているのがわかります。この段差は2018年の5月に国立公園が閉鎖されるまでは無かったんです。まっ平らだったんです。

そして2021年9月296日に始まった噴火によって溶岩がハレマウマウ火口の中に溜まり、どんどん浅くなりついにこの展望台からも溶岩が見えるようになりました。まずは昼間ですが溶岩湖の黒い溶岩が見えるようになりました。これは当時私の中では事件でした。

望遠レンズで覗いて目を凝らしましたが赤い溶岩は見えませんでした。ハワイ島の太陽の光は強いですからね。

同じ日の夜にこの場所に戻ってみると噴煙はオレンジろに染まり溶岩湖が見えていました。

これを望遠レンズで撮影するとゆっくると流れているのも確認できました。

この液体の溶岩が見えている場所は、現在日によって固まっていたり赤く見えていたり変化するので、赤い溶岩を見たいという場合には別の展望台をお勧めします。今回は昔のジャガーミュージアム付近の展望台ウエーカフナ展望台をご紹介しました。次回ウエーカフナの更に北東のキラウエア展望台(Kilauea Lookout)をご紹介したいと思います。お楽しみに!
質問やこんなことが知りたいなど有りましたら、ぜひコメント欄にコメントを残してください。

では良い週末をお過ごしください。

和田タイチョー

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